B型肝炎
急性B型肝炎
急性肝炎のひとつです。性的接触や血液を介して(輸血、医療従事者の針刺し事故、入れ墨、覚醒剤の回し打ち、針治療など)感染します。多くは一過性に経過し、慢性肝炎、肝硬変に進行しないとされていますが、B型肝炎ウイルスのタイプによっては慢性化しやすいものもあります。
慢性B型肝炎
母子感染、乳幼児期(2歳以下)感染で、無症状のまま推移します(無症候性キャリア)。
多くは20歳代前半までに肝機能障害を起こし、中には慢性肝炎に移行するものもあります。一部は肝硬変、肝癌へまで進展します。慢性肝炎に移行したものの多くは、肝機能障害が落ち着きます(ウイルスが消失したわけではありません)。
成人でB型肝炎ウイルスに感染した場合、急性感染(一過性感染)に終わり、慢性化はまれとされております。しかし、B型肝炎ウイルスのタイプによっては慢性化しやすいものもあります。
治療としてはB型肝炎ウイルスの増殖を抑え、肝機能障害が落ち着くのを目標とします。C型肝
炎のようにウイルスを完全に排除することは困難とされております。
以前から、母子感染予防のためにB型肝炎ウイルスキャリアの母親から産まれた新生児に対し、B型肝炎免疫グロブリンとB型肝炎ワクチンの投与が行われてきました。その他の子供に対して、B型肝炎ワクチンの接種は積極的には行われていませんでした。
現在では、子供同士の密接な接触による感染も考えられるようになりました。擦り傷があって接触するような状況では、感染する可能性があるということです。思春期以降の性感染症としても問題になっております。
そのような感染の予防のため、B型肝炎ウイルスキャリアの母親から産まれた新生児以外の乳児へのB型肝炎ワクチン定期接種が行われるようになりました。その他の小児~青少年に対する任意接種も推奨されております。
症状が出た時に診察を受けることは重要ですが、症状がないうちから健康診断や肝炎検診(B型肝炎ウイルスとC型肝炎ウイルスの感染のチェック)を受け、肝機能障害の有無や、慢性肝炎の原因であるB型肝炎ウイルス感染やC型肝炎ウイルス感染の有無をチェックすることも重要です。
現在、B型肝炎の治療も進歩しております。当院で肝炎検診などでB型肝炎ウイルス感染を診断した場合、まずは更なる精査や治療の選択のために対処可能な病院へご紹介します。