腫瘍・癌の発見
『腫瘍・癌の発見』
腫瘍とは、細胞が異常に増えてかたまりになったものです。ある場所にとどまって大きさにも限りがある良性腫瘍と、発育が早く広がりやすい悪性腫瘍があります。悪性腫瘍で皮膚や粘膜からできるものを癌、皮膚や粘膜以外(骨や筋肉や神経や粘膜の下など)からできるものを肉腫といいます。
悪性腫瘍は放置しておくと転移して命の危険をもたらします。転移とは腫瘍細胞が離れた部位に達し、そこで新たに発育することです。リンパの流れに沿って転移するもの、血液の流れに沿って転移するもの、胸腔や腹腔といった体腔へ膜(漿膜)を突き破って転移するものなどがあります。(肺の外側には胸腔という空間があり、おなかの中の臓器の外側には腹腔という空間があるのです)
癌が小さいうちは症状が出にくいのですが、癌が大きくなったり、転移をすると症状が出るようになります。癌から出血をすると出血症状が出ます。出血量が多ければ、めまいや立ちくらみなどの症状がでます。消化管の癌から出血すると口から血を吐いたり(吐血)、排便時に血が出たり(下血)します。気管支の癌から出血して口から血が出ることもありますが、この場合は喀血といいます。尿道、膀胱などの尿の通路に癌ができて出血すると排尿時に血が出ます(血尿)。
管状の臓器で癌が大きくなると、通常では出ていたものが出なくなります。消化管が癌で詰まってしまうと便が出なくなったり(便秘)、食べたものが先に進まないため、吐いたりします。肝臓で作られた胆汁は胆管を通って十二指腸に出されますが、胆管が癌で詰まってしまうと、胆汁の排出が妨げられるため、黄疸という症状(皮膚が黄色くなる)が出ます。気管支が癌で詰まってしまうと、気管支の空気の出入りができなくなり、呼吸ができなくなります。尿道が癌で詰まってしまうと尿が出なくなります。
癌が体腔にあらわれると水がたまってくることがあります。癌が胸腔にあらわれると、胸水がたまり、癌が腹腔にあらわれると腹水があらわれます(お腹も張ります)。
癌の場所によっては、癌が大きくなると、外から触れるようになります。
癌が転移すると転移した部位によっていろいろな症状が出ます。
痛みが出たり、体重が減ることもあります。
癌は大きくなったり、転移をすると治りづらい病気ですが、小さいうちに発見できれば治すことができるものもあります。症状が出た時点ではかなり癌が進行している可能性があります。癌が小さいうちに発見するために、症状がないうちから、定期的な癌検診を受けることをお勧めします。
■当院で発見可能な腫瘍・癌と検査
- 肺癌:胸部X線検査
- 食道癌:内視鏡検査
- 胃癌:内視鏡検査
- 大腸癌:内視鏡検査
- おなかの中の癌:超音波検査
- 前立腺癌:採血で前立腺癌マーカーPSA高値であれば泌尿器科にご紹介
当院の検査で癌が発見できなかった場合でも、更なる精査が必要だと判断した場合には専門の病院へご紹介させていただきます。その結果、腫瘍や癌が発見されるということもあります。